2014 W杯 コスタリカの分析
皆さんこんにちは。
最も厳しいグループと言われた死の組D組。大方の予想に反しコスタリカがグループリーグ突破を一番に決めました。日本のサッカー協会などを批判するために『弱いコスタリカとマッチメイクした』などとおっしゃっていた自称辛口評論家たちは冷や汗をかいてるのではないでしょうか。
今回はそんなダークホースとなっているコスタリカの戦術に目を向けてみたいと思います。
コスタリカの基本戦術
皆さん覚えてる通り、コスタリカは開幕直前の日本との試合では1-3で負けています。戦術が悪かったのか、フィジカルコンディションが悪かったからなのか、日本との相性が悪かったのか。色々原因はあると思いますが、戦い方は変えておらず、基本的な戦術は変わりないので日本戦から長所と短所を紹介します。
コスタリカのフォーメーションは攻撃時3-4-3、守備時5-4-1で動きます。守備はワントップは前から相手のCBにプレスをかけ次の4もきちんとプレスをかけてきます。いわゆる引きこもりチームではありません。日本はわかりやすくこの4をかわせばチャンスになりましたし、逆に中盤でとられるとピンチになりました。
問題はあり、最終ラインがよく下がってしまい5-4のラインの間に広大なスペースが出来ることが多いです。あの試合香川が調子良かったのもそのおかげかもしれません。後半12:18のシーンだと
あと守備時は固いのですが3-4-3の布陣から5-4-1に移る際にスキがあります。カウンター、ショートカウンターには弱いということです。
前半26:40のシーンだと
この後本田が決めるだけのシーンまで持って行かれています。
攻撃ですが中心はルイスです。キープ力もテクニックもあり、彼を中心にチャンスになります。ただ組み立ての繋ぎはそこまで連動していないので日本のプレスにひっかかることが多々ありました。基本的にボールを持っているときは左を中心としたサイド攻撃、そしてカウンター、ショートカウンターを得意とするチームです。
対ウルグアイ
初戦ウルグアイ対コスタリカ。コスタリカはフォーメーションなどはいじらず。穴である2つのライン間のスペースも日本戦よりは消してきていましたが、まだ時々ありました。ただそのスペースからチャンスになったウルグアイの攻撃は39分と
43分のみ。
ここを使った攻撃の形はウルグアイにはあまりなかったようです。堅守速攻を誇る両者ともに中盤からいいパスは繋げず、ロングボールとセットプレーの応酬になります。
セットプレーからのPKで先制されますが、後半カウンターからウルグアイのDFのスキをついて同点。そしてセットプレーから逆転弾。抜け出しからダメ押し弾。
正直ウルグアイの低調さ(そしてスアレスの欠場)に助けられたところはありましたが、ウルグアイのロングボールを跳ね返し、攻守ともに1対1に負けなかった点はとてもいい試合運びだと思います。セカンドボールの反応などもコスタリカは良く、コンディションや集中力の高さが伺えました。
対イタリア
続いてイタリア対コスタリカ。
コスタリカの最終ラインは集中していてラインを高く維持します。イタリアは再三その裏を狙い、最大のチャンスはやはりピルロからバロテッリ
前半30分。
そして32分。
ピルロヤバすぎますね。
対してショートカウンターを中心に攻撃するコスタリカ。イタリアのミスから決定的なチャンス(完全にPKだろというシーン)を迎えると、その直後左サイドからの早いクロスにルイスが合わせて先制。イタリアの一瞬のスキを見逃しません。
後半も戦術は変えず。ただしDFラインからは無理に繋がずにキャンベルへのロングボールを起点とすることが増えました。あとは左サイドです。
ちなみに守備はかなり洗練されていて、ライン間のスペースも人が入ると最終ラインまたはボランチがすぐさまプレッシャーをかけにいっていました。後半カッサーノはそこでボールを受けようとするのですがなかなかフリーではプレーできませんでした。
最後までディフェンスの集中力は切れず、タイムアップ。コスタリカは死のグループを真っ先に突破しました。
どこまで行けるか楽しみ
戦術的には日本戦から変わってはいませんが、ワールドカップでは全体的にアグレッシブな試合をしてきています。 コンディションも良いようで、しかもカードもあまり貰っていないので、疲れが出ないまでは恐らく良い試合を続けるのではないかと思います。
ただ課題はあり後半、5-4-1の4のラインが疲れてくるとディフェンスに戻れなくなる点。すると最終ラインの1人がスペースを潰すことになるのですがそうなると最終ラインに穴ができます。
イタリア戦の後半30分
白の丸の部分の選手が戻れず、ぽっかりスペースが。最終ラインの選手がケアすることになりますが、そうするとラインが崩れてスペースが生まれます。イタリアはこの攻めがもっと欲しかった。
このスペースからコンビネーション、または個人技で突破されるようなチームとあたると、より一層の集中力が必要になります。
守備的ですが引きこもりサッカーとはまた違うコスタリカのサッカー。ブラジルでもウケが良さそうなのでこのサッカーを続けて頑張って欲しいです。
これだからワールドカップは面白い。