raba777のサッカー分析blog

論理的思考でサッカーを分析します。主に日本代表、海外サッカー、Jリーグのマッチレポートを行います。

アジアカップ 準々決勝 日本対UAEの分析

皆さんこんにちは。

さて、オーストラリア優勝で終わりましたアジアカップ2015。主役と誰もが疑わなかった日本は、まさかのベスト8敗退。このブログでもミスしなければUAEまでは負けないだろ、とか高をくくっていましたら、見事にフラグ回収となってしまいました。

私も代表もまだまだ未熟ということですが、簡単に日本が主役になれなかった理由をまとめました。

準々決勝UAE戦~試合分析しにくい~

さて、試合の流れとしては、試合開始直後はUAEが流れを掴み。7分に先制。日本は失点後からボール保持し、押し込む展開になりますが、なかなかゴールを奪えず時間経過。後半武藤、柴崎、豊田を投入し、36分に柴崎のビューティフルゴールで同点に追いつくも、その後も決定機を生かせず延長へ。しかし長友が負傷しほぼ10人になった影響もあり得点を奪えずPKへ。そして日本は本田と香川が外し、川島も止められず敗戦。

…さて、この試合、戦術、選手の戦術理解度に関しては及第点でした。(試合「内容」と書くと、内容と結果という果てしない論争が始まるので使いません。)
詳しく言うと、日本は良い攻撃パターンをしていましたし、選手も悪くはなかったです。

ただ酷かったのは決定率の低さ、この一言につきます。イラク戦もヨルダン戦も不安点としては少しありましたが、コーナーキック18本蹴って、そして35本シュートを打って、1点しか取れない…。ただ急にコーナーキックで点が入る方法、決定機に強くなる方法を練習以外に私は知らないので、これに関してはひとまずスルーし、他の点を見ていきます。

決定力以外の敗因~メンバー、采配について~

決定力不足はほぼ、選手の責任(選手の個の能力)のせいですし、巷では監督の責任はゼロなのではないかという声もあります。既に述べたように戦術は機能していましたし。ただ少しでも敗因を探りたいと思います。

インサイドハーフ~組み立てもミドルも上手い選手募集~

まずメンバーの問題。
ここでは特に気になったインサイドハーフの問題をあげます。というか香川の不調、遠藤の年齢の問題です。

正直言って、UAEレベルの相手では、インサイドハーフにそこまで守備力は要りません。事実香川も遠藤も最低限しか守備をしていませんし、それで事足りていました。失点シーンは少しいただけませんでしたが。
攻守両面から見ると、パスの受け手、出し手としての能力が高いほうが、押し込めますしミスしてカウンターを受けるリスクが少なくなるので良いです。アギーレが今回選んだ選手たちも攻撃に特徴を持つメンバーでしたよね。そういう意味ではメンバーの特性としては良いものだったと思います。

ただ、遠藤、柴崎はミドルを直接叩き込んでいるのに対し、香川は動きはかなり良くなってきたものの肝心のシュートがなかなか入らず、清武はアギーレで初招集でパレスチナ戦もあまり良くなかった。そういう意味で、香川の先発は結果論かもしれませんが、良くなかったのかもしれません。
戦犯探しみたいなのはよくないので今後の話になりますが、引いた相手にはインサイドハーフの決定力がとても大事ですので、ここにどれだけのクオリティの選手を置けるかが今後も重要課題になります。Jリーグで、組み立て、ミドル、走りこんでシュートなどが上手い選手が見つかることに期待しましょう。

ちなみに私は、アジアだったら攻撃的なインサイドハーフだけで大丈夫なのかという部分を準決勝以降の2試合で見たかったので、そういう意味でもとても残念です。

選手の疲労~リスクの選択~

さて、アギーレ監督への批判があるとすれば、9割は選手起用の問題でしょう。スタメン変えずに4試合。しかも最後は中2日。しかも4年前のアジアカップでは総力戦となって優勝できたことから、スタメンの入れ替えがなかったのが敗因という印象を持ちやすいのかもしれません。

だがそう決めつけていいものなのでしょうか。4年前も、先発を入れ替えた原因のほとんどは怪我人と退場者です。しかも中3日で全ての試合があり、あまり参考になりません。
失点シーンの守備、攻撃陣の最後の精度がメンバーを変えていたら本当に出来ていたのか。ここも難しいところです。

結局のところ、監督の仕事はどのリスクを選択するということなのです。アギーレは、メンバーを変えてグループステージで上手くいっていた部分がおかしくなるリスクよりも、メンバーを変えず疲労でパフォーマンスが低下するリスクの方が低いと判断し選択したということです。
もちろん、負けてしまいましたし怪我人も多かったので、主にコンディション管理の部分で反省は必要ですし、疑問が生まれるのも当然です。
ただ何度も言いますが、戦術やその浸透度は良かったので、愚将というまでではありません。

 まとめ~継続と転換~

まとめですが、どんな敗戦も次につなげなければいけません。ただそれが否定とは限りません。継続するべき点も多々あります。上でグダグダいっていますが、結局は決定力不足で負けたので全部ひっくり返すのはちょっと勿体無いです。

転換点としてあげるなら、若返りと信用できる新たなオプション。
遠藤や今野もけっこうな歳ですし、いつまでも攻撃陣も本田香川岡崎たちの調子に頼りっきりではいけません。
オプションですが、アギーレ体制になって4-3-3、4-2-3-1というフォーメーションの幅は出来ました。次は結果を残せるという信頼ができるメンバーを増やすことです。ガンバの決定力特化型や名古屋の快速ストライカーなど沢山候補はいるので色々試行錯誤してほしいです。

今日のところはこれくらいで。ではー。

アジアカップ 日本のグループステージ2戦の分析

皆さんこんにちは。

ついに日本のアジアカップが始まり、2戦終わりました。
日本は2戦2勝で結果はほぼ最高なのですが、内容はどうか、という話になると良いとこともあればまだまだという部分もあります。2戦の分析して、今後の試合の展望とさせていただきます。

日本対パレスチナ~全ては先制点~

さて、まず初戦ですが、ほぼ前回の投稿で示した布陣で日本は望みました。武藤ではなく乾というところを用いたのも、ショートカウンターなどスピードを武器にし、前線にスペースが有るほうが活きる武藤よりも、ドリブルで相手を抜くことなど狭いエリアでも活きる乾という意味では、引いてくる相手には有効だと思いますし、妥当です。

試合ですが、日本は開始7分で先制点を取ります。見ていきましょう。

f:id:raba777:20150118041028j:plainサイドバックの長友がオーバーラップし出来たスペースに乾が降りる。

f:id:raba777:20150118041336j:plain乾簡単に前をむく。しかもパレスチナの選手は誰もアタックしに行かないし見ているだけ。更に遠藤フリー。

f:id:raba777:20150118041459j:plain遠藤に簡単につなぎ、バイタルまで持ち上がりシュート。キーパーもミドルの準備が遅くゴール。

まずですが、サイドバックのオーバーラップがまず効いています。ちなみに2点目はその長友へのスルーパスからでした。サイドバックの攻撃参加が引いた相手には重要なのがわかります。

また乾がこのとき下がっているように、ウイングは相手が引いた際の攻撃時は少し中に絞りサイドバックの上がれるスペースを作りながら、下がって縦パスを受けることが多かったです。特に本田よりも乾に対してあまりマークがキツくなく、左サイドでパスがつながっていました。
また他の選択肢としては、岡崎に縦パスが入り、絞ったウイングがそのフォローをする形となります。

更に相手は4-4ブロックを敷いてきたのですがなにせ前の4人の守備意識が低く、一点目は遠藤、二点目も香川がフリーでシュートを打てるような状態でしたので、日本のやりたいことが出来ていました。またどちらもペナルティエリア外からです。インサイドハーフにはミドルレンジからのシュート精度も必要であることがわかります。

まぁこんなところです。1点目に相手が引いた際の日本の攻撃のスタイルが見えましたし、1点目で試合の流れが決まりました。初戦のコンディション、コンビネーションにしては上出来です。

日本対イラク~遠藤のポジションと~

さて2戦目ですが、イラクパレスチナと違い、中盤の守備意識が高く、序盤はなかなかでした。ただ、遠藤のポジショニングが良いこと、そして遠藤に前を向いて簡単にパスを出させてしまったことでイラクはピンチを迎えることになります。

一点目もそれです。

f:id:raba777:20150118051920j:plain遠藤にここまでゴールに近いところで前を向かせると仕事します。

遠藤からのチャンスはかなり多く、コンディションも良さそうです。また他のチャンスは大体アタッキングサードにいるウイングもしくは香川に縦パスが入り前を向けたときです。

さて、この試合前半は完全に日本が支配していました。が、後半の最初はイラクペースでした。守備時、インサイドハーフの2人とDFラインの間のスペースが空きまくっていたのでそこを使われました。

ただそこで遠藤に変えて今野を入れ、守備時は今野も長谷部並に下がることでスペースがなくなりましたし、イラクも疲れたのでまた日本のペースになりました。追加点は取れませんでしたが、ほぼ思い通りの展開でしょう。

2試合での不安点~守備時の香川とピッチコンディション~

で、ここからがどちらかと言いたいことなのですが、現在の不安点としては守備時の香川とピッチコンディションです。

守備時の香川ということからですが、香川はけっこう流動的なポジションをとっており、通常のインサイドハーフとしては高めの位置をとっています。もちろんこれは彼の高い攻撃力(香川は高い位置で前を向くのが上手く、出来ければ大チャンス)を活かしているのですが、もちろん守備では穴になります。

例えばイラク戦後半3分前後のシーン。このとき右SB酒井が上がっていてそのケアのためアンカー長谷部は下がっており、中央には広大なスペースが存在します。

f:id:raba777:20150118054203j:plain吉田と香川でボールを挟みに行きます。が、相手は一旦戻してからワントップにボールを繋ぎます。

f:id:raba777:20150118054422j:plain吉田は戻るのに香川戻らず。2人が見ていた選手がフリーに。

f:id:raba777:20150118054654j:plainこの後スルーパスからかなり危ないシーンを迎えました。吉田がそのまま相手につくにしろ、下がるにしろ香川には戻ることが求められていました。

香川も前線からのプレッシングは得意なのですが、こういった戻る際の判断能力がインサイドハーフには求められるので難しいです。相手が速い攻めを見せた時、不安な点です。
ただし、今のシーンでもどこかで相手のパスを奪えれば香川がフリーとなり大チャンスとなります。それを考えて、香川に戻るな、という作戦ならば…アギーレは香川のことをとてもよく知っていることになります。今後の試合でも注目です。

そしてもう一つはピッチコンディションです。一戦目は風、二戦目は湿度と暑さが酷かったなど、まず気候が変です。また芝生の状態もお世辞にも良いとはいえず、日本にとってはあまり良い条件ではありません。今後も試合ごとに変わっていくと思われますので、注意が必要です。

まとめ~ポカさえしなければ勝てる~

さて、ここまで見てきましたが、正直あまりパレスチナイラクも日本と比べてしまうと数段実力は落ちていました。特に守備への切り替え、足元の技術に関してはかなり日本は優れていることがわかります。

もちろん相手が引いてきているので簡単なクロスだけでは崩せませんが、日本も上のように良い攻撃をしてきているので、あまり心配してはいません。
また守備時のインサイドハーフと決定力に関しても、今後改善することを期待しています。

レフリーに関しても、ボディコンタクトのファールをすぐ取るので、セットプレイが攻守で大事になります。ですが全体的に見て、レフリーも最悪というレベルではないので、中盤で致命的なミスをしない限りは安心して見れると思います。

まぁ外野が騒がしいですが、アギーレも監督能力としては良い感じですので、アジアカップ終了までは気にせず楽しみましょう。アジアカップの後を気にするのは協会だけで良いです。

また準々決勝後ぐらいにお会いしましょう。ではー。

アギーレJAPAN 2015アジアカップ前のまとめ

こんにちは。寒い日が続きますね。

本日がついに日本のアジアカップ初戦ということで、少しアギーレJAPANについてまとめていきます。パレスチナについての情報をほとんど持ってないので試合展望という訳ではありませんが、本日以降の試合で少しでも参考になれば嬉しいです。

2014強化試合を通して少し見えてきたアギーレJAPANのサッカー

さてアギーレ監督ですが、2014の強化試合はいわゆるメンバー選考重視ということを言い続けてきました。ただもちろん代表戦はただのメンバー選考試合では無いので内容結果も問われるのですが、戦績としてもここまで6試合で、ウルグアイとブラジルに敗戦するも、他では3勝1分けということで悪い訳ではありません。ということで強化試合を通して見えたアギーレ監督のサッカーを探ってみたいと思います。

まずフォーメーションですが、基本は4-3-3で、攻撃時は3-4-3、守備時は4-1-4-1のようになります。一応図で乗っけておきます。

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アギーレ監督は就任当初、4-3-3を基本に考えていると発言し、その布陣が色々想定されました。
2シャドーを用いる4-3-2-1いわゆるクリスマスツリーという形や、トップ下を置く4-3-1-2など。自分も少しその可能性を考えましたが、その理由としては一つ、日本はトップ下、もしくはシャドーの適正人員が多い(本田、香川、柿谷など)ことでした。

攻撃時~ウイングとインサイドハーフに注目~

まぁそれはさておき、アギーレ監督になり大きく変わったのは本田がトップ下ではなくウイングに、そして左サイドにアギーレJAPANの顔となった武藤、そして復調してきた乾を用いることです。ここまで香川を左ウイングで用いていないのは皆様も周知の通りです。右サイドには小林悠も控えているように、ウイングの特徴は突破力などゴールへ直結する能力が重視されています。それはというと、アギーレ監督がよく言う早い攻め、ボールを奪ったらFW3人でもカウンターをすることが求められるからです。
攻撃時はインサイドハーフ(上の香川遠藤)もフィニッシャーとして重要な役割を用います。例えばジャマイカ戦では岡崎が敵陣でボールを奪いショートカウンターペナルティエリア外で本田へパス。

f:id:raba777:20150112025722j:plainそして柴崎が猛然と本田の外側を駆け上がったので、

f:id:raba777:20150112030008j:plain本田はその柴崎へラストパス。エリア内へ見事侵入した柴崎のクロス(かシュート)が結果的にオウンゴールとなりました。

このインサイドハーフがゴール前スペースに走り込む攻撃は他の試合でも基本となり、得点もあげていますのでアジアカップでも何回も見ることができると思います。アギーレが香川をインサイドハーフで使うことにしたのはホンジュラス戦で良かったからでしょう。ホンジュラス戦を見れば香川の良いところが見えます。
2人に加えて清武柴崎がこのポジションにいますが、誰が出ても彼らにはゴールに絡む活躍が求められます。楽しみです。

また押しこむ展開になるとサイドバックの攻撃参加が大事になります。ホンジュラス戦の三点目遠藤のゴールなどは酒井高徳の攻撃参加によって生まれています。サイドバックにも注目です。

守備~とても重要なアンカーとまぁ重要な前の4人~

さて守備はというと、アンカー(上の長谷部)がいるので、前の方でボールを奪われた場合でも4-2-3-1よりも中央が分厚くリスクマネジメントができているといえますが、そのアンカーには高い身体能力、判断能力が求められます。

まず2つの4ラインの間にいるので、もし前に釣り出されて抜かれた場合などは非常に危険なスペースを与えることになります。それがブラジル戦1点目に表れています。キャプチャを用いますが、一枚目、アンカーであった田口はまだアンカーのポジションでスペースを消しています。ただ相手の9番を気にしています。

f:id:raba777:20150112035523j:plainすると9番は下りてボールを貰いに行きます。田口はフリーなのが気になるのかついていってしまいます。

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しかし9番はワンタッチで前に繋ぎ、ワンツーで抜け出します。田口がいたところには広大なスペースが。

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CBが当たりに行きますが、時既に遅し。ネイマールの素晴らしい抜け出しから先制点。綺麗にやられました。

そして泣き所としては、アンカー脇のスペースです。これはオーストラリア戦の前半です。相手の21番がボールを貰い、簡単に前を向いてしまいます。

f:id:raba777:20150112041317j:plain長谷部はボールに行ってしまうと上のような致命的なスペースを与えてしまうので行けません。21番は長谷部の脇のスペースへとドリブル。

f:id:raba777:20150112041432j:plainアタッキングサードへの侵入を許してしまいました。この後サイドへパスしサイドを抉られピンチになりました。

f:id:raba777:20150112041629j:plainこの試合、たまらずアギーレが4-3-3から4-2-3-1に変えるまでオーストラリアにアンカー横を使われまくりました。
またこのシーンなどにもわかるように前の4のラインの守備がザルだと簡単にアンカー横を使われてしまうので戻って守備をする意識が大事です。特にインサイドハーフ

またザッケローニのときからですが、簡単なパスミスからのカウンターはもちろん最悪なので気をつけなければいけません。ピッチが酷く、プレッシャーが強かったブラジル戦のピンチの体感7割はそれでした。オーストラリアのピッチ状態は非常に不安なので気をつけてもらいたいです。

まとめ~初戦大事~

まとめですが、攻撃で重要なのはウイング、インサイドハーフサイドバック。守備ではアンカーとインサイドハーフ(とウイング)です。
特に重要なのはインサイドハーフ。彼らが目立っている時間帯は日本は押しています。逆に消える時間帯が長いということは日本は劣勢だということです。

とはいっても香川遠藤柴崎清武のクオリティはアジアでも突出して高いと思いますので、あまり心配していません。
どちらかというと、ミスからの失点が怖いですし、そして初戦でパレスチナに負けるようなことがあれば一気にチーム的に崩れる可能性もあります。今日、とても大事です。加えてですが、アギーレが合宿でどうチームを作ったかも注目です。

 

次のマッチレポートなどでお会いしましょう。ではー。